#菌のホント編

アルツハイマーと菌の関係について。最新の研究を解説します。



先にリーキーガット症候群の記事をお読みいただくと、より理解が深まります。

リーキーガット症候群が私たちの体に及ぼすことと、その対処法
キーワード:リーキーガット症候群

 


アルツハイマーとは脳の疾患で、俗にいう「認知症」の多くはこの疾患が原因と考えられています。
これは脳が少しずつ萎縮していく病で、その影響によって物忘れから始まり、徐々に記憶を保持することが困難になったり、運動に障害が出たりと様々な影響が体に現れる病です。

残念ながら、2020年5月現在、根本治療の目処は立っていない疾患です。
また、基本的に萎縮した脳が回復することはなく、投薬によって症状の進行は抑えられるものの、元の機能を取り戻すことは滅多にありません。

そんなアルツハイマーですが、近年興味深い研究が現れましたので解説していきたいと思います。
専門的な内容となりますが、より多くの方に知って欲しいと思います。

なにせ、経済協力開発機構(OECD)が2018年に発表した医療に関するレポートによると、日本における認知症有症率は2.33%で、OECDに加盟する35カ国のうち最も高くなっているのですから。

 

 

 

アルツハイマーの原因と歯周病



結論から述べると、アルツハイマーの原因は不明です。
残念ながら明確な結論は出ていません。

正確には「これ!」と言った原因があるのではなく「日々蓄積する様々な出来ごと」の結果として、アルツハイマーを発症する状態になってしまうようです。

例えば遺伝。例えば生活習慣。例えばシンプルな加齢など。他にもストレスや喫煙なども原因の一つとして想定されています。

そして近年、また興味深い研究論文が発表されました。それが、歯周病とアルツハイマーの関係です。
歯周病の原因となる菌が、アルツハイマー患者の脳内で見つかり、これが症状を進める一つの原因になっているのではないか? という仮説です。

また、九州大学を主軸においた研究チームによると、歯周病菌は直接脳内に入らずとも、全身のあらゆる場所でアルツハイマーの原因となる物質を生成する可能性があると示唆されています。

あくまでも関連性と可能性が示唆されているだけで確定事項ではありませんが、これら複数の論文により「歯周病菌がなんらかの方法で体内に入り込んでしまうと、アルツハイマーの引き金を引く可能性がある」ことが示されています。

この「なんらかの方法」は大きく二つ
・歯周病
・リーキーガット症候群
です。


歯周病の体への影響や、効果的な対策を知りたい方はこちら。

【菌×口腔ケア】KINS流・歯医者選びのススメ
キーワード:歯周病

 

 

菌が入り込むメカニズムとリーキーガット症候群



リーキーガットとは簡単に説明すると、腸内環境の悪化により腸内の内容物が血管の中に入り込んでしまう状態のことを指します。
本来清潔であるはずの血管内に菌や食事などの異物が入り込むことにより、全身に様々な悪い影響が現れる疾患です。

入り込んだ菌や異物は血中を巡り、全身の様々なところへ行き渡ります。もちろん、脳も例外ではありません。こうした異物が脳に達すると炎症が起きたり、その影響で気分障害が出たりストレスを感じやすくなることがあります。

私たちは、毎日1.5リットルほどの唾液を飲み込んでいます。その中には大量の口腔内細菌。

リーキーガットの症状がある中で、毎日こうした菌を取り入れているとどうなるか。これらの菌が体内に入り込んでしまう可能性は否定できません。また、歯周病菌はシンプルに「歯周病の患部(=傷口)」から直接的に血中へ入り込む可能性もあります(あくまで可能性、です。)

防ぐ方法は非常にシンプルで「歯周病を治す」ことと「腸内環境を整える」ことの2つ。

特にKINSでは、定期的な歯科でのクリーニングを強く推奨しています(3ヶ月に1回以上)



腸内環境について詳しく知りたい方はこちら。

【腸活のやり方】KINSが教える最もシンプルで簡単な菌ケア法
キーワード:腸活

 

腸内細菌にも注目した海外の研究(2019年11月)



上海の製薬会社であるGreen Valley Pharmaceutical Companyは、アルツハイマーの治療としての新薬を開発し、軽症~中程度の同症状患者への適応薬として2019年11月に認証が降りたことを発表しました。

この新薬には様々な作用がありますが、一つに「腸内環境の改善」があり、腸内環境の悪化から生まれる毒素の発生を抑えるという意図が見られます。

まだ研究中のことも多いですが、こうした有名かつ掴み所のない難病に対するアプローチとして、菌に目を向ける人々がどんどん増えてきました。
より多くの人体の謎が、菌を紐解くことによって少しずつ明らかになる日を、心待ちにしています。


参考論文:
Stephen S. Dominy, Porphyromonas gingivalis in Alzheimer’s disease brains: Evidence for disease causation and treatment with small-molecule inhibitors, Sci Adv. 2019 Jan 23;5(1):eaau3333.

Vilma Maria Junges, Crosstalk Between Gut Microbiota and the Central Nervous System: A Focus for Alzheimer's Disease, Curr Alzheimer Res. 2018;15(13):1179-1190.

Nicholas M. Vogt, Gut microbiome alterations in Alzheimer’s disease, Sci Rep. 2017 Oct 19;7(1):13537.

 Nie, Ran, Porphyromonas gingivalis Infection Induces Amyloid-β Accumulation in Monocytes/Macrophages, J Alzheimer Dis. 2019;72(2):479-494.

Chloe Terciolo, Beneficial Effects of Saccharomyces boulardii CNCM I-745 on Clinical Disorders Associated With Intestinal Barrier Disruption, Clin Exp Gastroenterol. 2019 Feb 11;12:67-82.

Green Valley Announces NMPA Approval Of Oligomannate For Mild To Moderate Alzheimer's Disease



先にリーキーガット症候群の記事をお読みいただくと、より理解が深まります。

リーキーガット症候群が私たちの体に及ぼすことと、その対処法
キーワード:リーキーガット症候群

 


アルツハイマーとは脳の疾患で、俗にいう「認知症」の多くはこの疾患が原因と考えられています。
これは脳が少しずつ萎縮していく病で、その影響によって物忘れから始まり、徐々に記憶を保持することが困難になったり、運動に障害が出たりと様々な影響が体に現れる病です。

残念ながら、2020年5月現在、根本治療の目処は立っていない疾患です。
また、基本的に萎縮した脳が回復することはなく、投薬によって症状の進行は抑えられるものの、元の機能を取り戻すことは滅多にありません。

そんなアルツハイマーですが、近年興味深い研究が現れましたので解説していきたいと思います。
専門的な内容となりますが、より多くの方に知って欲しいと思います。

なにせ、経済協力開発機構(OECD)が2018年に発表した医療に関するレポートによると、日本における認知症有症率は2.33%で、OECDに加盟する35カ国のうち最も高くなっているのですから。

 

 

 

アルツハイマーの原因と歯周病



結論から述べると、アルツハイマーの原因は不明です。
残念ながら明確な結論は出ていません。

正確には「これ!」と言った原因があるのではなく「日々蓄積する様々な出来ごと」の結果として、アルツハイマーを発症する状態になってしまうようです。

例えば遺伝。例えば生活習慣。例えばシンプルな加齢など。他にもストレスや喫煙なども原因の一つとして想定されています。

そして近年、また興味深い研究論文が発表されました。それが、歯周病とアルツハイマーの関係です。
歯周病の原因となる菌が、アルツハイマー患者の脳内で見つかり、これが症状を進める一つの原因になっているのではないか? という仮説です。

また、九州大学を主軸においた研究チームによると、歯周病菌は直接脳内に入らずとも、全身のあらゆる場所でアルツハイマーの原因となる物質を生成する可能性があると示唆されています。

あくまでも関連性と可能性が示唆されているだけで確定事項ではありませんが、これら複数の論文により「歯周病菌がなんらかの方法で体内に入り込んでしまうと、アルツハイマーの引き金を引く可能性がある」ことが示されています。

この「なんらかの方法」は大きく二つ
・歯周病
・リーキーガット症候群
です。


歯周病の体への影響や、効果的な対策を知りたい方はこちら。

【菌×口腔ケア】KINS流・歯医者選びのススメ
キーワード:歯周病

 

 

菌が入り込むメカニズムとリーキーガット症候群



リーキーガットとは簡単に説明すると、腸内環境の悪化により腸内の内容物が血管の中に入り込んでしまう状態のことを指します。
本来清潔であるはずの血管内に菌や食事などの異物が入り込むことにより、全身に様々な悪い影響が現れる疾患です。

入り込んだ菌や異物は血中を巡り、全身の様々なところへ行き渡ります。もちろん、脳も例外ではありません。こうした異物が脳に達すると炎症が起きたり、その影響で気分障害が出たりストレスを感じやすくなることがあります。

私たちは、毎日1.5リットルほどの唾液を飲み込んでいます。その中には大量の口腔内細菌。

リーキーガットの症状がある中で、毎日こうした菌を取り入れているとどうなるか。これらの菌が体内に入り込んでしまう可能性は否定できません。また、歯周病菌はシンプルに「歯周病の患部(=傷口)」から直接的に血中へ入り込む可能性もあります(あくまで可能性、です。)

防ぐ方法は非常にシンプルで「歯周病を治す」ことと「腸内環境を整える」ことの2つ。

特にKINSでは、定期的な歯科でのクリーニングを強く推奨しています(3ヶ月に1回以上)



腸内環境について詳しく知りたい方はこちら。

【腸活のやり方】KINSが教える最もシンプルで簡単な菌ケア法
キーワード:腸活

 

腸内細菌にも注目した海外の研究(2019年11月)



上海の製薬会社であるGreen Valley Pharmaceutical Companyは、アルツハイマーの治療としての新薬を開発し、軽症~中程度の同症状患者への適応薬として2019年11月に認証が降りたことを発表しました。

この新薬には様々な作用がありますが、一つに「腸内環境の改善」があり、腸内環境の悪化から生まれる毒素の発生を抑えるという意図が見られます。

まだ研究中のことも多いですが、こうした有名かつ掴み所のない難病に対するアプローチとして、菌に目を向ける人々がどんどん増えてきました。
より多くの人体の謎が、菌を紐解くことによって少しずつ明らかになる日を、心待ちにしています。


参考論文:
Stephen S. Dominy, Porphyromonas gingivalis in Alzheimer’s disease brains: Evidence for disease causation and treatment with small-molecule inhibitors, Sci Adv. 2019 Jan 23;5(1):eaau3333.

Vilma Maria Junges, Crosstalk Between Gut Microbiota and the Central Nervous System: A Focus for Alzheimer's Disease, Curr Alzheimer Res. 2018;15(13):1179-1190.

Nicholas M. Vogt, Gut microbiome alterations in Alzheimer’s disease, Sci Rep. 2017 Oct 19;7(1):13537.

 Nie, Ran, Porphyromonas gingivalis Infection Induces Amyloid-β Accumulation in Monocytes/Macrophages, J Alzheimer Dis. 2019;72(2):479-494.

Chloe Terciolo, Beneficial Effects of Saccharomyces boulardii CNCM I-745 on Clinical Disorders Associated With Intestinal Barrier Disruption, Clin Exp Gastroenterol. 2019 Feb 11;12:67-82.

Green Valley Announces NMPA Approval Of Oligomannate For Mild To Moderate Alzheimer's Disease