菌のホント編 #005

アレルギーと腸内細菌の関係について

目次
  • 腸内細菌とアレルギーの関係
  • ①腸内細菌叢のバランス悪化
  • ②リーキーガット症候群
  • 論文の紹介
  • 免疫に寄与する食品たち

 

腸内細菌とアレルギーの関係

こんにちは、KINSです。

本日はアレルギーと菌の関係について、少しだけお話しようと思います。

 

腸内細菌と免疫機能は非常に密接に紐づいています。というのも菌の中には、大きく分けて人体にとって有効に働くものとそうではないものの2種類がいます。特にたくさんのきんが繁殖している腸内では、日々免疫がいい菌と悪い菌を選別しているのです。

 

しかし、なんらかの原因により腸に不調が起きると、この免疫をうまくコントロールすることができなくなってしまいます。例えば、本来であれば攻撃しなくてもいい菌に対して過剰に反応してしまったり、またその逆もしかり……免疫のコントロールが失われてしまうと、これが腸内だけでなく全身の様々なところで現れるようになります。また、菌だけでなくタンパク質や、ホコリなどのシンプルな異物などにも、免疫が過剰に反応するように変化が起きます。これが、後天性のアレルギーの発症です。

 

昔は全然大丈夫だったけど、大人になったら花粉症が出てきたー!

という方は、このパターンの可能性があります。

 

ここでいう「腸に不調が起きる」状態を具体的に言うと、大きく2種類のパターンが見受けられます。それが

①腸内細菌叢のバランス悪化(多くはいわゆる善玉菌の減少)

②リーキーガット症候群

 

です。

順に見てみましょう。

 

 

①腸内細菌叢のバランス悪化

前述の通り、腸内には多様な菌が住んでいます。これは私たちが様々な形態で摂っている「食事」から、より効率的に栄養分を得るために欠かせない存在です。例えば乳酸菌は食物繊維からエネルギーを作ってくれますし、ビフィズス菌は糖からビタミンを作ってくれています。これらは、私たちが今のライフスタイルで生活を営む上で、必須とも言える能力です。

 

私たちは常に外の世界に触れながら生きています。同時に、外の世界の様々なものを体を作る糧として取り込みながら日々を過ごします。外からの物質を初めて体に取り込むのは小腸です。そこで、小腸では流れてきた食品を「体に必要なもの」として栄養とみなし取り込むか、「病原菌」とみなして攻撃対象とするか、高度な判断をしているのです。

 

本来、免疫は外部から入ってきた「私自身ではないもの」を攻撃するシステムです。ただ、端から端まで全ての物質を攻撃してしまうと、私たちは栄養を摂取することができません。そこで、私たちに備わっている機能が「免疫寛容」と言われるもの。

 

この機能により、私たちは食品成分を攻撃することなく栄養として摂取することができます。そして、この免疫寛容に一役買っているのが腸内細菌です。特に口から入ったもののアレルギーに関しては、小腸で働く乳酸菌たちが積極的に働いています。

 

腸内環境が悪化し乳酸菌の数が減ってしまうと免疫寛容の機能が弱くなり、アレルギーのような症状が出るようになることがあります。

 

 

②リーキーガット症候群

もう何度も登場してきました「リーキーガット症候群」。もう説明は不要かと思います。簡単に説明すると、様々な要因により「腸が漏れている」状況のことです。腸が漏れる要因は腸内環境の悪化と、日々の食生活での過剰なグルテン摂取。これにより悪玉菌や、悪玉菌の出した毒素が腸から体の中に「漏れ出して」しまいます。

 

そうすると、全身でこうした菌や毒素と体が戦い始めます。要するに、炎症が起きている状態です。免疫に強い負担がかかっている状態なので、どこか体の調子がおかしくなったり、体調のバランスが崩れているように感じます。便秘やニキビなどの細かな不調から始まり、重くなるとアレルギーや自己免疫疾患、各種生活習慣病の原因にもなってしまう可能性があります。

 

▼より詳細な情報は別記事で解説しています。下記からご覧ください。

リーキーガット症候群が私たちの体に及ぼすことと、その対処法

 

 

論文の紹介

2019年の5月に発表された

Food antigens drive spontaneous IgE elevation in the absence of commensal microbiota.

という論文では、腸内細菌がいない状態では、食品はアレルギー物質になりうる。ということが述べられています。

 

ここからいくつかの資料を掘り下げると、

 

2007年の記事では、免疫の抑制についての命令を腸内細菌が担っていることが

https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/56/6/56_KJ00004652105/_pdf

 

2014年の記事では、食品との作用が掲載されていました

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/52/12/52_814/_pdf/-char/en

 

このように、特に食品アレルギーについては「様々な原因が考えられる」ものの、その一端は腸内細菌が担っている事実が強く示唆されるようになっています。

合わせて、上記の記事では腸内細菌が腸で出す指令が、全身の免疫をコントロールすることにも一役買っているという記述がありました。特に近年では、大腸のビフィズス菌不足と花粉症の関連性も徐々に明確になって来ています。

 

 

免疫に寄与する食品たち

ところで、現在わかっている中でも免疫のコントロールに寄与する食品があることをご存知ですか?

その一部を本章ではお伝えさせていただきます。

 

免疫には「上げる」と「抑える」という概念があります。病原菌などに対して、免疫を強化していくという考え方が「上げる」。そして、アレルギーなど免疫が過敏になってしまっている状態を落ち着かせることが「抑える」という意味です。これらは全く意味合いが異なるので、ご注意ください。また「抑える」はあくまでも「正常化する」ことであり「弱らせる」「機能しなくする」という意味ではないことにご留意くださいませ

 

緑茶

緑茶にはカテキンをはじめとするポリフェノールが多量に含まれています。面白いことに、緑茶に含まれる複数のポリフェノールは「お茶を煮出す温度」でその性質が変化します。80℃以上の高温で2分程度煮出すと「免疫を抑える」風に働く成分が。逆に、1時間以上かけて水出しした緑茶には「免疫を上げる」ように働く成分が多く現れます。ぜひ、その時の体調や情勢に合わせて使い分けてみてください。

 

*使用するのは茶葉でも粉末でも問題ありません。が全ての茶葉について成分分析を行ったわけではありませんので、スーパーなどで大量生産・廉価で販売されている製品につきましては、やや不安が残ります。

 

 

発酵食品(乳酸菌)

複数の論文に目を通してわかったのは、乳酸菌の摂取が非常に手軽で万能だということです。乳酸菌はこの「上げる」と「抑える」のどちらもの働きを上手にこなしてくれます。外から入れる乳酸菌と私たちの体に住む菌で相性がある他、菌の種類によっても免疫に与える影響に差が現れそうです。

 

また関連して、「納豆菌」も体内で似たような働き方をすることがわかっています。

 

 

海草

もずく、わかめ、昆布などなど……海草には菌を育てる「水溶性食物繊維」が豊富だから! とKINSでも度々オススメしてまいりました。しかし、彼らの秘密はそれだけではありません。海草の持つヌメリ成分。これはいわゆる水溶性食物繊維の中でも「フコイダン」と呼ばれる成分で、免疫力を上げてくれる効果があります。

 

 

 

アレルギーは元来、生まれつきの「しょうがないもの」として存在していました。

それが、こうした未知の分野の研究が進ことで少しずつ解き明かされていく様子は、非常に心強く同時に菌を扱うことの可能性を感じています。

より早く、もっと先へ、これらの研究が進んでいくことを祈っています。

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