蒸し料理が菌ケアもダイエットもかなえてくれる

 

「菌ケアに良い食事を取り入れたいけど、正直言って自炊は面倒。」

「ダイエットを意識しているけど、毎日サラダばかりじゃ味気ない…。」

 

そんな皆さんにおすすめな菌ケア調理法が、蒸し料理です。蒸し料理というと「手間がかかりそう」と感じる方も多いかもしれません。

 

でも実は、慣れてしまえば意外と簡単。そしてそんなひと手間をかけてでも続ける価値のある菌ケア的メリットが、蒸し料理にはあるんです。

蒸し料理の持つヒミツについて、KINSと一緒に紐解いてみましょう。

 

菌ケアの3箇条を実現する蒸し料理

まず菌ケアにおいてのポイントを、皆さんはご存知でしょうか。

実は蒸し料理は、菌ケアの基本的な重要ポイントを完璧におさえた調理法とも言えるんです。KINSの菌ケア3箇条 KINSで日々お伝えしているのは、こんなポイント。

 

・菌を入れる

これは腸内環境のため、善玉菌そのものを取り入れること。

例えばキムチやぬか漬け、味噌、醤油などの発酵食品にも乳酸菌などの菌が豊富に含まれています。

 

・菌を育てる

善玉菌が腸内でより増えるためには、エサとなるものが必要。

そこで善玉菌のエサとして摂りたいのが、水溶性食物繊維やポリフェノールのような栄養素。特にたっぷり摂りたい水溶性食物繊維は、野菜・豆類・穀類・海藻・きのこ類などに多く含まれています。

善玉菌を育てるためには、菌だけでなく菌のエサも一緒に摂っていくことが大切なんですね。

 

・菌の邪魔をしない

水溶性食物繊維は善玉菌のエサとなってくれますが、同時に悪玉菌のエサとなりやすいものにも注意が必要。それは白砂糖の糖分や油っぽい食事、赤身肉などです。

甘いものや過剰な脂質、赤身肉に偏った食事をしていると、結果的に悪玉菌に加担してしまうことに。

腸内で悪玉菌が優勢になると、せっかくの善玉菌のチカラも発揮できなくなってしまいます。

 

蒸し料理なら菌ケア3箇条をクリア

蒸し料理は基本的に、揚げ物や炒めもののように油を使わずとも調理ができますよね。そのため自然と、菌ケアやダイエットには控えたい脂質を抑えることができます。

 

そして加熱することで野菜が柔らかくなり、生よりも量を摂りやすくなるのもポイント。

体を冷やさずたっぷりの野菜を取り入れられるので、菌ケア要素はばっちり。

味噌や醤油など発酵系の調味料と組合わせれば、これだけで菌ケアの3箇条をおさえた料理のできあがりです。

 

 

蒸すことで栄養価がアップ=効率的な菌ケアに

蒸し料理が菌ケアやダイエットにぴったりなことは、おわかりいただけましたよね。ただ基本的な菌ケア3箇条だけでなく、蒸し料理には優秀なポイントが他にもあるんです。

「蒸す」がポリフェノールや食物繊維をアップする こちらは生のブロッコリーを、蒸す/茹でるという2つの調理法で調理して、栄養価の変化を比べた論文をもとにした表です。

 

一般的にビタミンCは熱に弱く、加熱調理によって壊れてしまいやすいとされているもの。その定説通り、茹でたブロッコリーは生よりも20%ほどビタミンCの減少が見られました。

 

ただ蒸した野菜については、ビタミンCの量にほぼ変化がなし。

それどころか、水溶性食物繊維同様に菌のエサとなってくれるポリフェノールは増加していることが発見されたのです。

 

その増加量は約1.6倍。

蒸すだけで菌のエサとなるポリフェノールが、1.6倍にもなるのです。

 

同じくポリフェノールの一種で抗酸化作用に優れたフラボノイドや、フェノール酸についても同様に増加が見られました。

 

ポリフェノールは活性酸素を減らしてくれる機能性成分として知られ、健康管理のためにも毎日摂りたいもの。さらに菌ケアの観点でも、ビフィズス菌を増やしてくれる重要な菌のエサなのです。

 

どうして「蒸す」でポリフェノールが増えるのか?

多くの調理法では、加熱すると失われてしまうイメージのある栄養素。しかし蒸すことでは、ポリフェノール量が大きく増加しています。

 

これはある研究結果によると、蒸す過程でポリフェノールとタンパク質などのつながりが破壊されるためではないかと考えられています。

 

それによってポリフェノールがより抽出されるのではないか、という説のよう。

まだ明確にはされていない部分もあるようですが、「蒸す」調理法には私達の想像を超えたヒミツがありそうです。

 

もっと菌ケア・蒸すと水溶性食物繊維もアップ さらに別の研究では、蒸すことによってポリフェノールだけではなく、食物繊維にも変化があることがわかっています。

29種類のあらゆる野菜を蒸して食物繊維量の変化を調べたある研究では、20種類もの野菜に食物繊維の増加が見られました。

 

野菜の種類によっても変化の幅は違いますが、例えばブロッコリー、芽キャベツ、にんじん、玉ねぎ、セロリ、ラディッシュ、ズッキーニなどの野菜では増加が確認されています。さらに注目したいのが、食物繊維の中でも「水溶性食物繊維」が蒸したことで増加していること。

 

食物繊維には「水溶性」「不溶性」の2種類があるのですが、菌ケアで特に大切なのがこの「水溶性食物繊維」なのです。水溶性食物繊維はポリフェノール同様に菌のエサになってくれるため、KINSとしても日頃から積極的な摂取をオススメしています。

 

まさに水溶性食物繊維は、私達の菌ケアに欠かせない大事な仲間。

そんな水溶性食物繊維をさらにアップできるとは、「蒸し」は効率的な菌ケア調理法と言えますね。

 

「蒸し」との相性ぴったりな優秀野菜たち

 

菌ケアの重要成分・水溶性食物繊維が蒸すことで上昇するとわかりましたが、その中でも特に優秀だったのは、ごく身近な野菜たちでした。

特に蒸し料理にもぴったりな

  • ブロッコリー
  • 芽キャベツ

 

この2種類は、水溶性食物繊維が蒸したら2倍以上に。

 

さらに

  • セロリ
  • フェンネル
  • ラディッシュ

 

においては、なんと約3倍の上昇が見られました。

フェンネルは香りの良いハーブですから、お魚や野菜と「ハーブ蒸し」にしても良さそうですね。

他にも

  • 人参
  • かぼちゃ
  • アーティチョーク
  • カリフラワー

 

なども、水溶性食物繊維が増加したとされる優秀野菜です。

私達の周りにある一般的な野菜の多くが、蒸すことによってさらに菌ケア力を高められるのですね。

 

自然な「蒸し」のひと手間が違いを生む

最近では電子レンジで手軽に野菜を蒸すことができる、便利な調理器具なども売られています。ただ電子レンジを使用した場合、蒸し器で蒸すのとは菌ケア的な違いが生まれてしまうのが悩みどころ。

 

電子レンジでの加熱では、食品が短時間で超高温になります。

それによって短時間でしっかり火を通せるので、そこが電子レンジのメリットでもあるのですが…。

 

ただその超高温によって、大切なビタミンやポリフェノールなどの成分がダメージを受けてしまうという面も。そのため、見た目は同じ「蒸し」であっても、残念ながら菌ケア的にはちょっと効果が低め。

 

その点、しっかり「せいろ」などを使って蒸した蒸し料理では、クロロフィル、ビタミンC、タンパク質、可溶性糖など多くの成分でダメージが少ないことが確認できています。

 

もちろん電子レンジの便利さはシーンに合わせて活用しつつ、せいろや蒸し器も生活にどんどん取り入れたいですね。

また、「茹でる」「炒める」「揚げる」などの調理法と比べても、蒸し料理はダントツで栄養価が高いという研究結果も。

 

これは蒸し料理が他の調理法と違い、調理過程で油や水にさらされないという点も影響しているようです。

 

できるだけ「生」の素材を

電子レンジなど高温の加熱で、壊れてしまう野菜のポリフェノール。これは蒸すことによって解決できそうですが、実は「極端な低温」も野菜の栄養に影響します。

 

ある研究では「じゅんさい」を冷凍したところ、ポリフェノールの減少が見られたそう。

またポリフェノール以外でも、長期間冷凍したことで野菜のビタミンCが減少したという研究結果もあります。

 

かぼちゃ、しゅんぎく、さつまいもなどでは、ビタミンC、カロチンなどの重要な栄養素が減少してしまったのだそうです。これは急激に減少するわけではなく通年の冷凍保存によって起きるのですが、そう考えると冷凍野菜などは少し注意が必要かもしれませんね。

 

素材を冷凍でストックしておくのは確かに便利ですが、栄養をまるごと取り入れるにはフレッシュな野菜を使うのが良さそうです。

ぜひ旬の野菜をたっぷり使って、できたての蒸し料理を楽しんでくださいね。

 

「スルフォラファン」も味方につける

蒸し料理 ブロッコリースプラウトなどに含まれる栄養素の、スルフォラファン

なんとなく健康成分なイメージを持っている方が多いと思いますが、フィトケミカルの一種で体の解毒力や抗酸化力を高めてくれるのです。

 

またスルフォラファンは、腸内の悪玉菌と戦う強い抗酸化作用ももっています。

つまり菌ケアの頼もしい味方ということ!

 

このスルフォラファンの前駆体(生成される前の状態)が、グルコラファン。なのでグルコラファンを摂ることも、菌ケアにつながります。そんなグルコラファンの含有量は加熱調理で下がるのか?ということを調べた論文によると…

 

ここでも蒸すことがオススメできる理由が見つかりました。

生のブロッコリーを様々な方法で加熱調理し、グルコラファンがどれくらい残るか探ったところ、

  • 蒸す:95%
  • 電子レンジ:37%
  • 茹でる:60%
  • 炒める:44%
  • 揚げる:47%

 

ほとんどの調理法で約半分〜半分以下に下がっているのに対し、「蒸す」では95%ものグルコラファンが、破壊されずに残っていたのです。

 

特に電子レンジと比べると、同じブロッコリーでもグルコラファンが2.5倍も摂れるということに。ポリフェノール、水溶性食物繊維、グルコラファン…蒸し料理は菌ケアに必要な栄養を届けてくれる、理想的な調理法と言えそうです。

 

 

菌ケアもダイエットも蒸し料理で

蒸し料理の意外な栄養アップ効果をお伝えしましたが、蒸し料理は一般的にヘルシーな調理法であることもポイントです。

 

ダイエット中には低カロリーで栄養たっぷりの、野菜中心な食生活を心がけたいもの。ただ毎食ボウル一杯のサラダでは、さすがに飽きてしまうし冷えも気になりますね。

 

そんな時にも蒸し料理を取り入れることで、たっぷり野菜を無理なく取り入れることができます。

できれば味付けも砂糖や化学調味料を使わず、菌ケアに良いオリーブオイルなどを使って工夫してみてくださいね。

 

そんな蒸し料理なら余分な油も抑えられ、カロリーダウンにも菌ケアにも最適。

  • こってりした食事が続いてしまった…
  • 冷えやすいのでサラダが苦手
  • 低カロリーでも満足感がほしい
  • 菌ケアしながらダイエットもしたい

 

こんな時にはぜひ、温かな蒸し料理でカラダをととのえて。

 

 参考文献:

Characterization of fructans and dietary fibre profiles in raw and steamed vegetables

冷凍あるいは凍結乾燥処理した野菜・果実中のビタミン含有量に及ぼす通年貯蔵の影響

加熱・冷凍中のじゅんさいのポリフェノール量の変化

Mariantonella Palermo, J Sci Food Agric;2014 The effect of cooking on the phytochemical content of vegetables

Jennifer L Kaczmarek J Nutr Biochem,2019 Jan,Broccoli consumption affects the human gastrointestinal microbiota
Laura Lavefve,Food Funct,2020 Jan 29,Berry polyphenols metabolism and impact on human gut microbiota and health
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