#菌のホント編

アトピー性皮膚炎と菌との関わり

 


「肌が痒い…!」そんな時でも掻いてはいけないアトピー性皮膚炎。

我慢しようとするほどストレスもたまり、肌も荒れて気分が落ち込んでしまいますよね。

多くの人を悩ませるアトピーですが、実はこの症状にも「菌」が関係しています。

アトピーが発生した肌には何が起きているのでしょうか?

そしてどのようなケアが必要で、原因は何なのか。アトピーと菌の関係を一緒に見ていきましょう。

 

 

アトピーの肌で起きていること

軽度から重度まで、人によって症状は様々なアトピー。
その中で一貫して言えることは、皮膚の「バリア機能」が低下しているということです。

 

お肌のバリア機能とは

バリア機能は、肌の表面にある角層が、外部の刺激から守ってくれる機能のこと。

水分の蒸発を防いでくれたり、皮膚にとって有害な物質の侵入を防いでくれたり、私たちの肌を健全に保つために欠かせない機能と言えます。

 

もちろん生まれ育った環境や、もともとの体質によって、バリア機能低下しやすい場合もあります。
このバリア機能が弱まっている時にでてくる症状が、アトピー性皮膚炎なのです。

バリア機能の低下と菌の関わり

さらに強くアトピーの症状が出ている皮膚は、このバリア機能が乱れて炎症を起こしている状態。肌がバリアされずに、肌の深部まで刺激が通ってしまい、痒みや湿疹などの炎症が現れてしまいます。


痒みによって皮膚を傷つけてしまい、さらにバリア機能が低下する…

このような悪循環を生まない為にも、皮膚を掻かないことがとても大切です。痒みを抑える為には、日々の保湿や薬によるケアも大切になります。


実はこれらのバリア機能の維持にも、「菌」が深く関わっています。
菌の増殖からバリア機能が崩れてしまい、炎症が発生してアトピーなどの症状が現れたり。

 

その他にもストレスや乾燥など、外部的な要因も多くありますが、アトピーが発生してしまう根本的な原因はなんなのでしょうか?

 

 

アトピー性皮膚炎が発症する原因

実はアトピーが発生する条件は、寝不足や生活環境、他にも汗がかきやすい体質であるなど、一つであると限らず様々な要因が重なり発症するものです。

しかしそれでも大元をたどると、以下の二つが原因と考えられます。

 

 

バリア機能の乱れ

バリア機能の乱れは、アトピーを引き起こしやすい肌の原因です。

正常であれば菌をブロックしてくれるのですが、ストレスや生活習慣の乱れなどからバリア機能に異常がでると、外部からの細菌から守る力が弱くなってしまいます。


バリア機能が乱れた状態では、水分を保持することが難しく、乾燥による痒みが発生してしまいます。

 

この破壊された肌が、炎症を起こしアトピーを悪化させることは珍しくありません。

 

 

免疫機能の乱れ

さらに免疫機能が乱れもアトピーの原因のひとつ。

免疫機能が正常であれば、細菌やウイルスをしっかり退治してくれて、炎症などの過剰な反応は起こりません。


しかしストレスや疲れなどから敏感に機能が働いてしまい、アトピーなどのアレルギーのように、過剰に反応して肌が炎症を起こしてしまいます。このような免疫機能を整えるためには、小腸などの内臓機能を整える必要があります。


このように、アトピーの症状が現れるのは、バリア機能や免疫機能の乱れが原因です。

バリア機能を正常にするために保湿などのケアを行い、免疫機能を保つためにもストレスを溜めないような生活が大切になります。

炎症を起こす「黄色ブドウ球菌」

次にアトピー症状を持つ人の肌によく住む「黄色ブドウ球菌」についてです。



黄色ブドウ球菌は健康な肌ではほとんど見られることはありません。

しかし、アトピー患者の皮膚では、この菌が多く存在し、さらに美肌菌などの「綺麗な肌を作る菌」が著しく減少している症状も確認されていました。

この黄色ブドウ球菌はアトピーだけでなく、おできやニキビの原因にもなっていて、トラブルを起こしやすい菌だと言えます。

 

表皮をはがしてしまう毒素を出したり、たんぱくを分解する酵素を持ち、実はアトピーのような炎症のきっかけになっています。

この黄色ブドウ球菌の栄養は汗や皮脂なので、もともと皮膚が弱かったり、汗をかきやすいと、菌が増殖しやすくなってしまいます。

細菌のご飯になる「汚れ」を肌に溜め込まないためにも、こまめに汗をふくなどして肌を清潔を保つことが必要です。

 

しかし菌をしっかり落とそうと「洗いすぎ」になってしまうと、お肌に必要な菌まで落としてしまうことになります。ダブル洗顔などは控えながら、洗いすぎないように、菌のバランスを整えていくことが炎症を抑えることに繋がります。

 

 

内側と外側の両方からのケアが鍵

先ほどお伝えした通り、アトピーの原因の根源はバリア機能と免疫機能です。アトピーを根本から解決するためにも、内側からと外側からの両法のケアが大切です。



内側からのケア

内側からのケアとは、腸内細菌を整えることです。腸は免疫細胞のほとんどを抱えているため、腸を整えること=腸内細菌を整えることになります。

 

「腸内細菌の変化がアトピー性皮膚炎に影響した」という論文は多数存在し、アトピー改善と菌ケアには深い関わりがあることも分かります。

腸内環境を整えるには、まずは日々の食事が重要。

 

 

外側からのケア

外側からのケアは保湿を行うこと。そして肌を弱酸性に保つことです。

アトピーのような炎症がある場合、バリア機能の乱れによって水分を失いやすく、乾燥しやすい肌になっています。乾燥による痒みもでてしまうので、保湿することは欠かせません。


加えて肌を弱酸性に保つことも大切。

黄色ブドウ球菌が増殖している場合、肌はアルカリ性に傾いているため、菌が増殖しやすい状況です。この菌を抑えるためには、スキンケアで肌を酸性に近づけることが炎症を抑える一歩になります。


このように内側と外側、両面からのアプローチにより、アトピーを改善していくことも可能です。内側からは腸内細菌を整え、外側からは肌に常在する菌と整える。

 

私たちの体にでてくる症状には「菌」が深く関わるということが分かったのではないでしょうか。


いかがでしたか?乾燥や痒み。

症状が辛くて直すのにも根気が必要なアトピーですが、しっかりとした菌ケアを行い、バリア機能や免疫機能を整えることで改善は可能だと分かりました。

 

外側からのケアに必要な保湿と弱酸性。肌で炎症を起こしやすい黄色ブドウ球菌も、スキンケアで整えてあげると、弱酸性に傾き、炎症も治りやすくなります。

 

内側からのケアでは、まず食べるものに気をつけていくこと。

これにより内臓機能もどんどん元気になって菌バランスが整います。

 

このように、アトピーの発生に深く関わりをもつ菌たち。
他にもたくさんの菌ケア方法があるので、ぜひ他の記事も見てみてください。

 

ぜひLINEでもKINSをお友達登録して、あなたのお悩みを聞かせてくださいね。

 

参考文献

Joan A Geoghegan, Trends Microbiol, 2018 Jun, Staphylococcus aureus and Atopic Dermatitis: A Complex and Evolving Relationship

 

Carol Stephanie C Tan-Lim, Pediatr Allergy Immunol, 2021 Jan, Comparative effectiveness of probiotic strains for the treatment of pediatric atopic dermatitis: A systematic review and network meta-analysis

 


「肌が痒い…!」そんな時でも掻いてはいけないアトピー性皮膚炎。

我慢しようとするほどストレスもたまり、肌も荒れて気分が落ち込んでしまいますよね。

多くの人を悩ませるアトピーですが、実はこの症状にも「菌」が関係しています。

アトピーが発生した肌には何が起きているのでしょうか?

そしてどのようなケアが必要で、原因は何なのか。アトピーと菌の関係を一緒に見ていきましょう。

 

 

アトピーの肌で起きていること

軽度から重度まで、人によって症状は様々なアトピー。
その中で一貫して言えることは、皮膚の「バリア機能」が低下しているということです。

 

お肌のバリア機能とは

バリア機能は、肌の表面にある角層が、外部の刺激から守ってくれる機能のこと。

水分の蒸発を防いでくれたり、皮膚にとって有害な物質の侵入を防いでくれたり、私たちの肌を健全に保つために欠かせない機能と言えます。

 

もちろん生まれ育った環境や、もともとの体質によって、バリア機能低下しやすい場合もあります。
このバリア機能が弱まっている時にでてくる症状が、アトピー性皮膚炎なのです。

バリア機能の低下と菌の関わり

さらに強くアトピーの症状が出ている皮膚は、このバリア機能が乱れて炎症を起こしている状態。肌がバリアされずに、肌の深部まで刺激が通ってしまい、痒みや湿疹などの炎症が現れてしまいます。


痒みによって皮膚を傷つけてしまい、さらにバリア機能が低下する…

このような悪循環を生まない為にも、皮膚を掻かないことがとても大切です。痒みを抑える為には、日々の保湿や薬によるケアも大切になります。


実はこれらのバリア機能の維持にも、「菌」が深く関わっています。
菌の増殖からバリア機能が崩れてしまい、炎症が発生してアトピーなどの症状が現れたり。

 

その他にもストレスや乾燥など、外部的な要因も多くありますが、アトピーが発生してしまう根本的な原因はなんなのでしょうか?

 

 

アトピー性皮膚炎が発症する原因

実はアトピーが発生する条件は、寝不足や生活環境、他にも汗がかきやすい体質であるなど、一つであると限らず様々な要因が重なり発症するものです。

しかしそれでも大元をたどると、以下の二つが原因と考えられます。

 

 

バリア機能の乱れ

バリア機能の乱れは、アトピーを引き起こしやすい肌の原因です。

正常であれば菌をブロックしてくれるのですが、ストレスや生活習慣の乱れなどからバリア機能に異常がでると、外部からの細菌から守る力が弱くなってしまいます。


バリア機能が乱れた状態では、水分を保持することが難しく、乾燥による痒みが発生してしまいます。

 

この破壊された肌が、炎症を起こしアトピーを悪化させることは珍しくありません。

 

 

免疫機能の乱れ

さらに免疫機能が乱れもアトピーの原因のひとつ。

免疫機能が正常であれば、細菌やウイルスをしっかり退治してくれて、炎症などの過剰な反応は起こりません。


しかしストレスや疲れなどから敏感に機能が働いてしまい、アトピーなどのアレルギーのように、過剰に反応して肌が炎症を起こしてしまいます。このような免疫機能を整えるためには、小腸などの内臓機能を整える必要があります。


このように、アトピーの症状が現れるのは、バリア機能や免疫機能の乱れが原因です。

バリア機能を正常にするために保湿などのケアを行い、免疫機能を保つためにもストレスを溜めないような生活が大切になります。

炎症を起こす「黄色ブドウ球菌」

次にアトピー症状を持つ人の肌によく住む「黄色ブドウ球菌」についてです。



黄色ブドウ球菌は健康な肌ではほとんど見られることはありません。

しかし、アトピー患者の皮膚では、この菌が多く存在し、さらに美肌菌などの「綺麗な肌を作る菌」が著しく減少している症状も確認されていました。

この黄色ブドウ球菌はアトピーだけでなく、おできやニキビの原因にもなっていて、トラブルを起こしやすい菌だと言えます。

 

表皮をはがしてしまう毒素を出したり、たんぱくを分解する酵素を持ち、実はアトピーのような炎症のきっかけになっています。

この黄色ブドウ球菌の栄養は汗や皮脂なので、もともと皮膚が弱かったり、汗をかきやすいと、菌が増殖しやすくなってしまいます。

細菌のご飯になる「汚れ」を肌に溜め込まないためにも、こまめに汗をふくなどして肌を清潔を保つことが必要です。

 

しかし菌をしっかり落とそうと「洗いすぎ」になってしまうと、お肌に必要な菌まで落としてしまうことになります。ダブル洗顔などは控えながら、洗いすぎないように、菌のバランスを整えていくことが炎症を抑えることに繋がります。

 

 

内側と外側の両方からのケアが鍵

先ほどお伝えした通り、アトピーの原因の根源はバリア機能と免疫機能です。アトピーを根本から解決するためにも、内側からと外側からの両法のケアが大切です。



内側からのケア

内側からのケアとは、腸内細菌を整えることです。腸は免疫細胞のほとんどを抱えているため、腸を整えること=腸内細菌を整えることになります。

 

「腸内細菌の変化がアトピー性皮膚炎に影響した」という論文は多数存在し、アトピー改善と菌ケアには深い関わりがあることも分かります。

腸内環境を整えるには、まずは日々の食事が重要。

 

 

外側からのケア

外側からのケアは保湿を行うこと。そして肌を弱酸性に保つことです。

アトピーのような炎症がある場合、バリア機能の乱れによって水分を失いやすく、乾燥しやすい肌になっています。乾燥による痒みもでてしまうので、保湿することは欠かせません。


加えて肌を弱酸性に保つことも大切。

黄色ブドウ球菌が増殖している場合、肌はアルカリ性に傾いているため、菌が増殖しやすい状況です。この菌を抑えるためには、スキンケアで肌を酸性に近づけることが炎症を抑える一歩になります。


このように内側と外側、両面からのアプローチにより、アトピーを改善していくことも可能です。内側からは腸内細菌を整え、外側からは肌に常在する菌と整える。

 

私たちの体にでてくる症状には「菌」が深く関わるということが分かったのではないでしょうか。


いかがでしたか?乾燥や痒み。

症状が辛くて直すのにも根気が必要なアトピーですが、しっかりとした菌ケアを行い、バリア機能や免疫機能を整えることで改善は可能だと分かりました。

 

外側からのケアに必要な保湿と弱酸性。肌で炎症を起こしやすい黄色ブドウ球菌も、スキンケアで整えてあげると、弱酸性に傾き、炎症も治りやすくなります。

 

内側からのケアでは、まず食べるものに気をつけていくこと。

これにより内臓機能もどんどん元気になって菌バランスが整います。

 

このように、アトピーの発生に深く関わりをもつ菌たち。
他にもたくさんの菌ケア方法があるので、ぜひ他の記事も見てみてください。

 

ぜひLINEでもKINSをお友達登録して、あなたのお悩みを聞かせてくださいね。

 

参考文献

Joan A Geoghegan, Trends Microbiol, 2018 Jun, Staphylococcus aureus and Atopic Dermatitis: A Complex and Evolving Relationship

 

Carol Stephanie C Tan-Lim, Pediatr Allergy Immunol, 2021 Jan, Comparative effectiveness of probiotic strains for the treatment of pediatric atopic dermatitis: A systematic review and network meta-analysis