KINSでは、オフィスの一角に「チョコレートをストックしておくスペース」があります。出社の際にはそこから好きなだけ手にとって構わない。というシステムです。カカオ70%以上の様々なチョコレートが常備されています。
しかしチョコレートは、忙しい脳に栄養を送るためだけのアイテムではありません。
実は腸内細菌の研究で、チョコレートの原料で有名な”カカオ豆は腸に良い作用がある”ことがわかっています。しかし、カカオが使われていればどんなチョコレートでも良いというわけではなく、意外な落とし穴が。
この記事ではカカオと腸の関係について解説することに加え、さらにご自分で腸にハッピーなチョコを作れるレシピもご紹介。
カカオがもたらす腸に良いこと
一口にチョコレートと言っても、いろんな種類や製法があります。もちろん各製品の栄養価や体、そして菌に与える影響もさまざま。
カカオ豆と腸内細菌の関係はお墨付き
腸内細菌と聞いて、多くの方が思い出すのはヨーグルトなどでおなじみの「ビフィズス菌」かと思います。
そのビフィズス菌属を筆頭にいわゆる善玉菌と呼ばれるチームと、その時々によって悪玉にも善玉にもなる日和見菌。そして増えると悪さをする悪玉菌。悪玉菌の活動が過剰にならないよう、善玉菌と日和見菌のグループが優勢なバランスでいられるように整えることが大切です。
そんな善玉菌をカカオ豆が応援するという研究結果があるのです。(※1)
- 「カカオ豆の外皮のエキス(粉末)」を健康な男女7名に朝昼晩の3回、2週間摂取してもらった。
また、「カカオ豆の外皮のファイバー(粉末)」を健康な女性7名に朝昼晩3回、2週間摂取してもらった。
結果はどちらにおいても、一部を除いたビフィズス菌属の8株(以下ビフィズス菌)とカゼイ菌のいわゆる善玉菌が増加。ファイバーにおいては便通の改善も報告された。
一方で、日和見菌やいわゆる悪玉菌(大腸菌など)には全く増加が見られなかった。
つまりカカオ豆でビフィズス菌を増やすことができるということ。
しかも悪玉菌には見向きもせず善玉菌だけ増やすというカカオの一途さ。
これはただならぬ関係です。この関係を活かさない手はない。ですが、日常でカカオ豆の外皮エキスを抽出するのは難しいので、やはりカカオ豆の加工品を上手に取り入れよう、という話になります。
チョコレートならなんでもOKではない
やはりカカオ豆の加工品といえばチョコレート。市販のチョコレートの多くがカカオ豆をローストして香りや味を出します。この加熱によって一部の物質は増加しますが、多くの栄養素や酵素は熱に耐えきれず失われてしまいます。
そして白砂糖、油脂、乳化剤、保存料、添加物などを駆使して見た目や口溶けのいい、賞味期限の長いチョコレートが生産されます。
選ばずにチョコレートを口にすると、多くの場合で白砂糖や脂肪分など、腸内環境に負担になるものもたくさん摂取してしまうことに…そこでカカオ豆の栄養素を腸内に負担をかけず得るために、大切なポイントがあります。
それが、「カカオがロー(raw=非加熱)であること。」
加えてできることなら使用されている原料に添加物がなく、腸にも優しい甘味料を採用していることです。
”ロー”チョコレートが腸には嬉しい
ローチョコレートは何が違うのか?
実は以前の記事内で少しご紹介した通り、脂質が控えめになりやすく、食物繊維の豊富なハイカカオのチョコレートでも腸には配慮していると言えます。
▼美味しく腸にも優しいお菓子のリストはこちら
グルテンフリー・シュガーフリーのお菓子選びパーフェクトガイド
キーワード:グルテンフリーただもう一つ思い出していただきたいのが、白砂糖は悪玉菌のエサになりやすいということ。
ローチョコレートは制作の全ての過程で非加熱であることにこだわります。なので採用される甘味料もアガベシロップ、ココナツシュガー、甜菜糖など腸内細菌に優しいものであることがほとんど。そして動物由来の乳製品を使用しないことも大きな特徴と言えます。
そして何より大切なカカオが非加熱であることがいちばんの特徴です。
あまり耳馴染みのないローチョコレート、実は材料さえ手に入れば誰でも作れる菌ケアに嬉しいスイーツです。
以下、実際に私がローチョコレートを作る際のレシピと工程を記載します。材料は全て通販で。こだわらない限り、基本的にAmazonで全て揃います。
デーツローチョコとローマンディアン
今回はローカカオバターとローカカオパウダーを使って、簡単に可愛く作れるローチョコレートのレシピをご紹介。おうち時間やバレンタインにぜひ作ってみてくださいね。
ローカカオパウダー、ローカカオパウダーは通販で注文。合わせる甘味料はアガベシロップやオリゴ糖などシロップ状のものが口溶けがよく、混ぜやすいのでおすすめです。
材料◎
ローカカオバター(約50g)
ローカカオパウダー(約45g)
オリゴ糖シロップ(約15g)
デーツ(お好きなだけ・今回は種ぬきのもの7個)
トレイルミックス(アーモンド・ピスタチオ・カシューナッツ・ドライクランベリー)
(もしくはお好みのナッツやドライフルーツ)
用意するもの◎
・陶器かガラス製の小鉢
・ひとまわり大きい器(丼など・湯煎用)
・泡立て器(なければフォークでもOK)
・金属製のスプーン(テンパリングのチェック用)
・クッキングペーパー(アルミホイルでもOK)
・タオルかキッチンペーパー(水分を拭う用)
- ポイント◎
- 全ての工程で材料およびチョコレート生地が48度より高温にならないこと。
金属製、プラスチック製のボウルは急激に熱が伝わりやすく温度管理が困難なため、少し厚みのあるガラス製のものや陶器を使うこと。
【作り方】
[湯煎の準備]
・大きめの器に沸かしたお湯を入れておきます。(あとで湯煎にかける小鉢の高さ半分くらいまで浸かる量)
※熱湯のまま使用すると高温になりすぎるので、必ず器に触れても耐えられる程度の温度に感じるまで待つ。
・その間に小鉢にローカカオバター(塊である場合は刻む)を用意。
[ローチョコレート生地を作る]
- ポイント◎
- 湯煎などで水滴が生地に入るとチョコレートが分離してしまいます。
その都度、タオルやクッキングペーパーで水分をよく拭き取りながら作業しましょう。
・熱湯を冷ましたお湯で湯煎して溶かし切る。(お湯が冷めてしまった場合は、また適温のお湯に差し替えて湯煎を続けます。)
・ローカカオパウダーを数回に分けて加えていく。(パウダーの量の目安は溶かす前のバターと同じくらいのカサ。)
・オリゴ糖シロップを加えていきその都度よく混ぜる。味見をしながら甘さはお好みで。
・大体混ざってきたところでまた湯煎用のお湯を準備。
・しっかり混ぜきったら、湯煎しながら生地全体に艶が出るまでよく見ながら混ぜる。(テンパリング)
テンパリングができているかの確認は、金属製のスプーンの裏に少しつけてみた様子でチェック。生地がスーッと垂れてこず、とどまって輪郭がハッキリ、質感がぽってりしていたらオッケーの合図。
湯煎用のお湯などはここで一度片付けるか離れたところに移動させます。生地が入っている小鉢もしっかり水分をぬぐっておきましょう。
・デーツをローチョコにくぐらせる。(クッキングペーパーの上に並べてチョコが固まるのを待つ。室温が高い場合などは冷蔵庫へ。)
・残りのローチョコ生地をクッキングペーパーの上にスプーンで丸く落とす。(お好きな大きさ、数で!)
・ナッツやドライフルーツをちりばめる。

完成です!
それでも生地が余った時はスプーンにのせて取っておき、お気に入りの蜂蜜を溶かしたホットミルクで溶かしながら食べるのもおすすめ。(写真はオーツミルク)
今回は美容にも期待できるドライフルーツとしてデーツを使用しました。
デーツには食物繊維とマグネシウムが豊富に含まれます。(※2)善玉菌のエサになることや、便の水分量を調整する作用で便通改善にも効果が。さらにドライフルーツの中でも特に豊富なカリウムで、体全体のむくみ解消にもひと役買ってくれます。
もちろん、お好みのドライフルーツでつくるのもおすすめです。選ぶ際は無添加であるか、白砂糖が使われていないかなど成分をチェックしてみましょう。
上手に選んで菌ケアを楽しもう
今回ご紹介したローチョコレートを始め、カカオ豆の加工品は腸内環境に嬉しい作用があります。
ご褒美スイーツや、ほっと一息のお供に選ぶチョコレートも、せっかくなら菌ケアに良いものを選びたいところ。ご自身で作るもよし、腸にもハッピーなチョコレートで楽しく菌ケアしてくださいね。
参考文献・リンク ※1 Tatsuya KAMIWAKI*, Daigo SUGITA*, Masanori ITO*, SUSUMU SHIMURA* and Takeo MIZUTANI** Effects of Extract and Fiber Derived from Cacao Bean's Husk on Human Intestinal Microflora
※2 文部科学省日本食品標準成分表