菌をきちんと編 #011

機嫌の良い“腸と脳”の作り方

目次
  • 脳と腸と、ストレスと
  • 腸内環境を整えるとメンタルが整う仕組み
  • ストレスは腸内細菌にダメージを与える
  • ストレスは腸でコントロールできる

 

脳と腸と、ストレスと

「最近イライラとすることが多くて...」
「なんだか鬱々してしまう...」
「ついつい、ストレスが溜まると食べ過ぎてしまって...」

そうですよね、そのお気持ち、よく分かります。

実は、気分の浮き沈みを改善するカギは「腸内環境」にあったのです。

今回は、みなさんが日々抱えるあらゆるストレスを「腸」でコントロールする方法について、お話ししましょう。

 

 

腸内環境を整えるとメンタルが整う仕組み

みなさんもきっと、一度は耳にしたことのある「GABA」と「セロトニン」。

これらは普段、約60種類以上あるとされる神経伝達物質、俗に言う、「脳内ホルモン」として、日々みなさんの心と体をコントロールしています。

「GABA」には興奮した神経を鎮めたり、心身をリラックスさせる働きがあるとされており、また「セロトニン」には、不安定な気分を安定させ、心を穏やかにする役割を担っているほか、睡眠の質を高める働きがあるとされています。

実は、近年、乳酸菌を摂取することで、「腸」にあるGABA受容体が刺激を受け、その刺激が「脳」と「腸」をつなぐ中枢神経を伝って「脳」に届き、脳内での「GABA」の生産を促すことが分かりました。

また、全体の約90%が腸で作られているとされる「セロトニン」。

腸で「セロトニン」を合成するときに必要不可欠となる、ビタミンB6をはじめとしたビタミンB群やビタミンKは、「腸内細菌」によって作られているのです。

と、いうことは、結論。

菌をカラダにいれて菌を育てることで、「腸」をより良い「環境」へと整えることができ、さらには心のバランスを左右する、2つの「神経伝達物質」の数を増やす効果が期待できるということ。

そして、それが私たちを、ストレスに負けない「しなやかな心とカラダ」へと導いてくれる力となるのです。

では、実際に、ストレスが私たちの腸内環境にどういった影響を与えるのか、考えていきましょう。

 

ストレスは腸内細菌にダメージを与える

腸は、「第二の脳」といわれています。

日常生活の中の、ちょっとした心配事や不安、そして緊張感...

もしかしたら、季節の移り変わりや環境の変化などでも、心のバランスに浮き沈みを感じることがあるかもしれません。

そういった、あらゆるストレスなどの影響で自律神経が乱れてしまうと、優位になるのは「交感神経」なのです。

ところが、腸の蠕動(ぜんどう)運動を支配しているのは「副交感神経」といわれています。

心に負荷を感じることで、自分自身でも気づかないうちに「交感神経」が優位となると、腸の動きが鈍くなり、便秘や下痢などのあらゆる腸内トラブルを引き起こしてしまう事実も...

さらには、バランスを崩した腸内環境下では「悪玉菌」が増えてしまう可能性が高く、肌荒れや免疫力の低下をも引き起こし、マイナスがさらなるマイナスを呼び起こすこととなってしまうのです。

 

ストレスは腸でコントロールできる

それでは実際に、どのようにストレスに負けない腸内環境にしていけばよいのでしょうか?

まずは、基本となるのは以下の2点の認識です。

・乳酸菌を直接カラダに摂り入れる(プロバイオティクス)
・乳酸菌を育ててくれるモノを摂取する(プレバイオティクス)

さらには、「GABA」や「セロトニン」を増やす効果が期待できる食材を、積極的に摂ることを心掛けてみてください。

「GABA」は、発芽玄米、キムチ、納豆、じゃがいも、きのこ、トマトなどから摂ることができます。

そして、「セロトニン」は、トリプトファンという物質から合成されます。

トリプトファンが豊富に含まれている食品は、大豆類や、乳製品、ピーナッツやバナナなど。

さらに、トリプトファンから「セロトニン」を合成するときには、ビタミンB6が必須となります。

ビタミンB6を豊富に含むのは、鰹やマグロの赤身、鮭、サバ、サンマなどの魚類、玄米や小麦胚芽、胡麻やニンニクなどです。

そして、毎日の朝食は、必ず食べるようにすること。

また、ゆっくり噛んで食べることにより「セロトニン」の分泌を増やす効果が期待できます。

日中には、太陽光の下で軽い運動を心掛けることで「セロトニン」の活動を促すことも大切です。

ストレッチやヨガ、ウォーキングなど、毎日30分でも体を動かす習慣を作ってみてくださいね。

みなさんが、今日よりも伸びやかなこころで、晴々とした一日を送ることができますように。


【参考文献】
1) Proc Natl Acad Sci USA. 2011 Sep 20:108(38)
2) 藤田紘一郎:『心身健康科学』8巻2号,2012年9月,69-73

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